ここでは、EVOメールサーバー(以下「EVOMS」)との通信の安全性や信頼性を確保するためのSSLサーバー証明書(以下「SSL証明書」)を、取得・インストールする手順について解説します。
認証局による証明書がない場合
EVOMSはデフォルトで、ドメイン名を入力したときに生成される自己署名証明書 を使用しますが、この場合Outlook等のメールソフトでの送受信時に以下のような警告ダイアログが表示されます。
ダイアログが出てもそのままサーバーに接続して送受信することは可能ですが、信頼できる認証局によって署名された証明書をインストールする(このページでの作業)ことで、通信の安全性や接続先の信頼性が確保され、警告ダイアログも表示されなくなります。
自己署名証明書とは – Google検索
SSL証明書の取得準備
SSL証明書を取得する前に、EVOMS側でやっておくべきことは2つです。
SSL証明書の取得には「証明書ライセンスの購入」と「証明書の取得申請」の2つのステップがあるのですが、このうち取得申請の際に、EVOMSで作成した「CSR」というファイルと「承認用メールアドレス」が必要になります。
ここでは、理解を助けるため以下の事例に当てはめて説明します。実際の作業では適宜ご自身のものに置き換えて下さい。
- 取得したドメイン
example.com - メールサーバー(MXレコード)
mail.example.com - 運用したいメールアドレス:
user@example.com
準備① 承認用メールアドレスを作成する
承認用メールアドレスは、申請者が「証明対象のドメインの所有者」であることの簡易な証明手段として用いられます。
admin@example.com
- この段階ではまだSSL証明書をインストールしていないので、送受信時に冒頭で述べた警告ダイアログが表示されます。
- 承認用メールアドレスは承認時のみに必要なので、一連の証明書の取得作業が終わったらメールアカウントを必要に応じて削除しても構いません。
準備② CSRと暗号鍵を作成する
CSRとは、サーバ証明書を発行するための署名要求(Certificate Signing Request)のことで、簡単に言えば証明を受けたい人(組織名や所在、URLなど)の情報等を暗号化された文字列にして提出する仕組みです。
証明書署名要求=CSR – Wikipedia
暗号鍵は、情報を暗号化し安全に運用するための仕組みに用いられるもので、秘密鍵と公開鍵で構成されます。
秘密鍵=private key – IT用語辞典 e-Words
EVOMSでは、画面で必要事項を入力するだけで簡単にCSRと暗号鍵を生成することができます。
SSL証明書の取得作業
EVOMS側ですべき準備が整ったら証明書の取得作業を行います。ここではケーススタディとして Secure Core(セキュアコア)の正規販売代理店であるネットオウル(株)が運営するSSLボックス で、最も安いCoreSSLを取得します。
他所で取得する場合は、そちらで証明書ファイルと中間証明書ファイルを用意して、このページの「証明書をEVOMSにインストールする」から読み進めて下さい。
証明書ライセンスの購入
初めてネットオウルのサービスを利用する場合は、「会員登録」>「決済情報登録」>「ネットオウルプリペイドの購入」>「SSL証明書ライセンスの購入」といったステップが必要になるので、少し面倒ですが、順を追って解説します。
下記の購入手順は2015.11現在のものです。最新の手順と異なる場合があります。
会員登録の手順
確定すると、登録完了のお知らせメールが届きます。
決済情報の登録手順
ネットオウルプリペイドの購入手順
SSL証明書ライセンスの購入手順
証明書の取得
SSL証明書ライセンスの購入が終わったら、引き続きネットオウルのメンバー管理ツール画面で取得申請を行います。最初にEVOMSで作成したCSR情報はここで使います。
取得申請
まず、赤枠内の内容に間違いが無いか確認します。
もしCSR情報に間違いを見つけたら、前述の「CSRと暗号鍵を作成する」に戻って、CSRと暗号鍵を作り直してから、①の画面に戻って新しいCSR情報を貼り付け直します。
確認したら、申請登録情報をを下記入力例を参考にして入力し、「次へ進む」をクリックします。
申請登録情報の入力例
入力例は、申請者の住所を以下のように仮定して説明します。(住所はMicrosoftのものです。)なお、入力はすべて英語表記(半角英数)でおこないます。
- 氏 名:日本 太郎 (Nippon Taro)
- 住 所:東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー1F
- 郵便番号:108-0075
- 電話番号:03-1234-5678
- 連絡用メールアドレス:t-nippon@outlook.com
証明書をEVOMSにインストールする
無事にSSL証明書を取得&ダウンロードできたら、いよいよEVOMSに証明書をインストールします。
X.509 – Wikipedia
証明書のインストールが完了したら、お使いのメールクライアントソフトでメールを送受信して、サーバー証明書に関する警告ダイアログが出ないことを確認しておきましょう。
証明書と鍵をバックアップしておく
最後に証明書と鍵を先程デスクトップに作成した「CERTフォルダ」にコピーしておきます。
このフォルダをEVOMSをインストールしたPCとは別の安全な場所に保存しておけば、PCに何らかのトラブルが発生した場合でも、新しい環境に鍵と証明書をインポートすることが出来ます。この作業は必ず実行して下さい。
C:\ProgramData\EvoMailServer\CONFIGS\CERTSTORE
にアクセスして、以下の3つを「CERTフォルダ」にコピー(バックアップ)します。
- mail.example.com.key ※最も重要なファイルです。
- mail.example.com.crt
- mail.example.com.chn
この3つのうち、「.key」と「.chn」は拡張子が表示されているのですぐ分かりますが、「.crt」は拡張子が表示されていません。
ファイルの種類が「セキュリティ証明書」となっているものが「.crt」ファイルです。右クリックしてプロパティで確認することも出来ます。
特に「.crt」と「.csr」は似ているので、保存漏れのないようにしましょう。
以上でEVOMSを使うための基本的な設定はすべて完了しました。必要に応じて活用編やリファレンスの記事も参考にしてください。