M1/M2 Macの外部ディスプレイがちらつく時の対処法

私はM1 Macbook AirにLG製の4Kディスプレイをクラムシェルモードで接続して使っているのですが、Launchpadを表示した時やApple TVアプリやブラウザで動画を再生している時などに画面が断続的にチラついたり縦縞のノイズ(コーミングノイズ)が発生することに気がつきました。

調べてみるとM1チップをはじめとするAppleシリコン搭載のMacでこのような症状が発生する場合があるようで、ディスプレイメーカーや海外のMacユーザーフォーラムでは、Appleシリコン側の不具合という認識が支配的にもかかわらず、Apple側ではいまだに放置されている問題のようです(Intelチップ搭載Macではこの問題は起きません)。

Apple M1ベースのMacの発売以来、世界中のユーザーから外部ディスプレイに接続すると画面がちらつく事例が報告されています。この問題は、すべてのユーザーに起きているわけではありませんが、・・・(中略)・・・新しいM2チップでも同じ状況が発生し、最新のデバイスでも外部モニターに接続するとちらつきが発生する可能性があります。・・・(中略)・・・ちらつきの問題はすべてのモニターブランドに影響を及ぼしており、特定のメーカーやモデルに固有のものではないことに注意してください。また、正確な原因は不明のままです。

How to Fix Mac® M1/M2 External Monitor Flicker – BenQ

実際この問題が厄介なのは、主要な液晶モニターメーカーの一つである台湾のBenQのサポートサイトでも言及されているとおり現時点で原因が不明なことです。したがってApple側が問題を修正するまでの間、ユーザーができる最良の対策は、自分のディスプレイの設定を試行錯誤して調整することです。

この記事では、ディスプレイメーカーのサポートページやMacユーザーフォーラムの情報に加え、私自身の作業環境で一応症状の抑え込みに成功しているディスプレイの設定( すぐ見る)について紹介します。

一般的なトラブルシューティングを試す

先に紹介したBenQの記事では、問題についての正確な原因について不明であるとしつつ、ディスプレイのちらつきに対する一般的なトラブルシューティング方法を紹介しており、これにより症状が軽減または改善することがあるとしています。まずはここから試してみましょう。

  • 各トラブルシューティングはすべて実行する必要はなく、実行してみて効果のあるもののみ(または組み合わせて)採用すればOKです。ただしこれらは基本的にMacの表示に関する設定を変更するものなので、チラつきの改善とMacの使用感がトレードオフの関係になることを理解しておく必要があります。
  • 解説はMacOS Ventura 13.2.1のメニュー体系で記述しています。
最初にしておくこと

最初にやるべきことは、ディスプレイの問題に限らず、トラブルシューティングの最も基本的な作業です。

  • Macを再起動する
  • macOSを最新にする
  • 別のポートを使ってディスプレイを接続する
  • ディスプレイのファームウェアを最新にする

Mac側の問題であることはほぼ確定と言えるので、今後OSのアップデートで根本的に解決する可能性する可能性は高いです。

カラープロファイルを変更する

Macのシステム設定アプリ > ディスプレイ を開き、カラープロファイルを「カラーLCD」に変更してみます。

カラープロファイルは、OS側でディスプレイの色管理を行うための設定を定義するファイルで、ICCプロファイルという規格によって定義されています。ユーザーフォーラムでは、この規格のバージョンがICC V4の時に一部のディスプレイで問題が発生することがあり、ICC V2で定義されているカラープロファイルを使用することによって症状が改善するという意見が報告されていました。

Macに標準搭載されている ColorSyncユーティリティを使うと現在適用中のカラープロファイルのICCバージョンを確認できます。

リフレッシュレートを変更してみる

Macのシステム設定アプリ > ディスプレイ を開き、リフレッシュレートを60Hz(ヘルツ)に下げます(変更できる場合のみ)。

Macと外部ディスプレイのリフレッシュレートの同期の問題が原因でちらつきが発生する可能性があるため、リフレッシュレートを初期値よりも下げてみると症状が改善する場合があるようです。なお、ユーザーフォーラムでは、可変リフレッシュレートに対応しているモニタを使用している場合に、固定値に変更することで症状が改善したという報告もありました。

True Toneと明るさの自動調整をオフにしてみる

Macのシステム設定アプリ > ディスプレイ を開き、True Tone と 明るさの自動調整 のチェックを外します。

True Toneなどの調光オプションは、Apple純正の Apple Studio Display および Apple Pro Display XDR やiMac など環境光センサー搭載のディスプレイを使用している場合、MacBookを開いた状態でサードパーティ製ディスプレイを接続している時のみ使用できます。とはいえ、環境光センサーが物理的に作動しないクラムシェルモードでもチラつきは発生することから、このトラブルシュートよって症状が改善する可能性は低いと見られています。

Night Shiftをオフにしてみる

Macのシステム設定アプリ > ディスプレイ > Night Shift を開き、スケジュールを「オフ」に変更します。すぐ下の「明日までオンにする」のトグルスイッチもオフにします。

ユーザーフォーラムでは、画面に占める暗い部分の割合が多い状態で、動きの激しい動画や明滅時にチラつき症状が発現するという報告が多く、画面の明るさを低下させるNight Shiftを無効化することで症状が改善するという意見があります。

ダークモードをオフにしてみる

Macのシステム設定アプリ > 外観 を開き、外観モードを「ライト」に変更します。

このオプションを変更する理由は前述のNight Shiftと同じです。このトラブルシューティングを適用するなら、必要に応じてシステム 設定アプリ > 壁紙 の設定もライトモード固定にしておくと良いかもしれません。

ユーザーフォーラムでの報告事例を試す

海外のMacユーザーフォーラムの一つ MacRumors ではユーザーが試した上記以外の方法がいくつか紹介されていました。これらは特定メーカーの外部ディスプレイ側の設定変更、ケーブルやアダプタ、ドッキングステーションなどの交換を伴うものですが、一般的なトラブルシューティングで紹介した方法と組み合わせてみるのも良いでしょう。

  • こちらも一般的なトラブルシューティングの時と同じですべて実行する必要はなく、実行してみて効果のあるもののみ(または組み合わせて)採用すればOKです。
  • ディスプレイ側の設定メニュー(OSD)はメーカーやモデルによって異なります。お使いの外部ディスプレイに類似の機能や設定項目がある場合は試してみても良いでしょう。
外部ディスプレイ側の設定変更に関する報告事例
  • (Dell製モニターで)データ優先から画質優先に変更した。

  • (Dell製モニターで)Macがスリープまたは電源OFFの間、PDの電力供給をOFFにするよう変更した。

  • (Dell製モニターで)シャープネス値を70以下にさげた。

  • (Dell製モニターで)色温度設定を中央値より左(寒色)または右(暖色)のどちらかに手動調整した。

  • (BenQ製モニターで)アイケアモード(ブルーライトカットや明るさ制御などの機能)を有効にした。

  • (BenQ製モニターで)DDC/CI(モニターとPCの相互通信に関する規格)機能を明示的に無効にした。

私の使用しているLG製の4Kディスプレイでも項目があるものについては設定変更を試してみました。結果、ディスプレイ側をブルーライトカットモードに変更すると明らかに症状が止まりました。ただ、色味の変更を伴うブルーライトカットモードを常時有効にすることが作業内容的に許容できないので、他の方法を模索しました(後述)。

接続アクセサリの交換に関する報告事例
  • (MBP14で)Macに電源供給可能なThunderboltハブを使用してディスプレイに接続した。

  • 使用しているHDMIケーブル(またはDisplayPortケーブル)を高品質のものに交換した。

  • USB-C Digital AV Multiportアダプタを使用した。

  • 非IPSディスプレイでは起こらないようなので、VA液晶やTN液晶を使用した。

私の環境では、Thunderbolt3対応のドッキングステーションと8K対応のHDMIケーブルを使用してLG製VA液晶4Kディスプレイに接続していても症状が発現しますし、他の方法で改善できているので(後述)、アクセサリ等の交換による症状改善にはやや懐疑的です。まぁ、万が一症状が再発したら上記Apple純正アダプタを使用しての接続は試してみたいところです。

Mac側のディスプレイ設定の変更に関する報告事例

Mac側のディスプレイ設定の変更については、フォーラムに投稿しているユーザーも、前述の一般的なトラブルシューティングで紹介した内容を試している方が多いようでした。以下ではそれ以外の設定変更に関するものを紹介します。

  • 画面解像度(スケーリング)を4Kに変更した。

  • カラープロファイルを「一般RGB」や「sRGB」に変更した。

  • クラムシェルモードを使わない(MacBookの蓋を開いて使う)ようにした。

  • 外部ディスプレイの明るさを変更するソフトウェア(MonitorControl)をアンインストールした。

上記4つの変更は、Macの使用感が大きく変わってしまうため、個人的には許容できませんでした。また私の環境では効果はありませんでした。

チラつきの抑え込みに成功!

一般的なトラブルシューティングやユーザーフォーラムの情報を試したところ、Mac側のディスプレイ設定でカラープロファイルを「カラーLCD」にし、外部ディスプレイ側の設定を「ブルーライトカットモード」に変更することの2つだけが、明確に効果があることがわかりました。

ただ、ブルーライトカットモードは画面の色味が大きく変わってしまうので、ユーザー設定モードで色味の変化を最小限に抑える方法を探りました。

その結果、私の使用しているLG製4Kディスプレイでは、画質>画像調整 の中にある「ブラックレベル」という設定項目を「High」に変更するだけで(後はすべて初期値)、完全にチラつきを抑え込むことができました。

ここでのブラックレベルとは、オフセット(映像信号の基準として、これがモニターで表示できる最も暗い色)の処理方法を指し、LG製ディスプレイではこの項目を「High」に設定することで、映像信号の情報をそのまま表示します。デフォルトでは「Low」に設定されており、暗い部分をより暗くして黒を引き締めるようになっているようです。

ちなみに、TrueToneやNightShiftの無効化やリフレッシュレートを下げるといった他の方法は発症のタイミングや頻度に変化を与えるだけで改善には至りませんでした。技術的なことはよくわかりませんが、Macが出力する黒色に関する映像信号が、ディスプレイが要求する一般的な規格というか作法に則っていないのかも・・などと思ったりします。

まとめ

M1やM2などのAppleシリコン搭載Macに接続した外部ディスプレイがチラつく場合は、以下の2つを試してみてください。両方とも適用することをお勧めします。

(所要時間:約1分)

※作業を行う前に外部ディスプレイのOSD(設定メニュー)で、ディスプレイの設定を初期化しておくことをお勧めします。

  1. Mac側のカラープロファイルを変更

    Macのシステム設定アプリ > ディスプレイ を開き、カラープロファイルを「カラーLCD」に変更します。

  2. ディスプレイ側のオフセットレベルを変更

    外部ディスプレイのOSD(設定メニュー)で、ブラックレベルオフセットの値を高くし、黒をより黒く見せる補正を解除します。

    画像はLG製ディスプレイのOSDですが、お使いのディスプレイでブラックレベル(黒レベル)オフセットの調整ができない場合は、ブルーライトカットモード(呼称はメーカーにより異なる)で改善が見られるかを確認し、許容できる色味に各種パラメーターを調整してみてください。