お年寄り向けICレコーダー 使いやすいのはどれだ!?


私の父は昆虫採集が趣味で、毎年初夏には北海道にまで出かけていきます。旅先で同じ趣味の仲間たちとの語らいや、その日のボイスメモを録音したりするのにICレコーダーを使っているのですが、これまで自分で買ったICレコーダーはどれもボタンや文字が小さく、機能が多い分操作も複雑なものらしく、「使いづらくてしょうがない」とこぼしていました。

というわけで今回は、先日「父の日」のプレゼント用に、「お年寄り向け」もとい「シンプル・簡単な」ICレコーダーを購入すべく物色した時のメモと、最終的に購入したSONYの ICD-LX31のレビューをお送りします。

大手3社の「簡単操作」モデル

まずは、ICレコーダー大手3社から出ている「簡単操作」がウリのモデルを見てみました。
なお、「いいところ」「惜しいところ」の判断基準は、音質がすごくいいとか、多くの機能を細かく設定できることよりも、機械の操作が苦手なひと(操作が億劫なひと) が、あまり煩わされずにスタンダードな性能と機能を使いこなせるかどうかに置いています。
 

OLYMPUS DP-301

いいところ

  • 手のひらサイズの本体正面に再生・停止・録音の大きなボタンが配置されているほか、電源、録音シーンの切り替え、再生速度、再生時のノイズキャンセル、消去などおよそよく使う基本機能が、独立したボタンやスイッチとして存在しているところが !
  • ホワイト、レッド、ブラックの3色展開
  • マイク感度・音質は、物理ダイヤルで録音シーン切替を切り替えるだけの簡単設計
  • 内蔵メモリが2GBあるのでSDカードがなくても最大166時間録音可能
惜しいところ

  • 手に取ってみるとプラスティックの質感がややチープな印象
  • 早送りや頭出しボタンが共通なので、長押しで使い分ける必要がある
  • イヤホン端子から聞いた場合でも音声はモノラルのみ
  • 液晶のバックライトなし

 

Panasonic SR30

いいところ

  • カセット式ウォークマンが全盛だった頃を彷彿とさせるデザインはともかく、録音、再生、停止などのボタン配置は他の製品よりも断然馴染みやすく直観的
  • 本体スピーカー2個搭載(※モノラル)。録音およびイヤホン再生はステレオ
  • 内蔵メモリが8GBで最大180時間録音可能
  • 公式サイトには記述がない(シルバーカラーのみ)が、パナソニック専門店モデルのホワイトカラーが存在する
惜しいところ

  • SDカードなどの外部メモリがないので、用途ごとにSDカードを使い分けることができない。つまり録音件数が増えれば増えるほど、日付検索などのメニュー操作が要求される
  • 音質はメニューを表示して手動で変更
  • 早送りや頭出しボタンが共通なので、長押しで使い分ける必要がある
  • 液晶のバックライトなし

 

SONY ICD-LX31

いいところ

  • 本体のデザインは異なるものの、ボタン配置や機能、本体上部に傾斜をつけている点など、上記Panasonic SR30とよく似ていて使いやすい
    もっとも、発売されたのはSONYの方が先のようなので、PanasonicがSONYに似ているといった方が正しい
  • メニュー操作に必要なボタンが液晶下部に集約されているほか、特に早送りや頭出しのボタンが独立している点は、直観的な操作感につながるので好印象
  • 録音レベルや音質は自動制御
  • 内蔵メモリを持たず、用途ごとにSDカードを差し替えて使い分けるといった割り切りが、むしろ心地よい。なお8GBのSDカードが同梱されている
惜しいところ

  • 上記2製品に比べて、やや大きく重い
  • 自動制御であるため、録音レベルや音質を任意に切り替えることができない。

 

ちょっと気になったその他のメーカー

簡単さを追求すれば、上記3つの製品が候補になりますが、ラジオが聞けて録音もできる製品で、ボタンもわかりやすそうなものが、以下の3つ。ただ、今回は出来るだけシンプルにICレコーダーの機能が使えることが大前提なので、候補から外しました。
 

OHM ICR-SD308K-W

ICレコーダーとして考えると、持ち歩くにはちょっと大きく、マイク部分は小さい。基本的には単三電池で動くポータブルラジオに、録音機能が付いた製品。AM/FMラジオが聞けて、ワンプッシュで録音・タイマー録音もできる。ボタンの日本語表示で、本体前面に集約されている点は、比較的簡単な操作感を期待できる。PCとUSB接続するためのケーブルや、ステレオイヤホンが付属。なお、記録メディアは通常のSDカードではなく、micro SDを使用。

 

Logitec LIC-RR100

上記OHMはラジオ主体であるのに対して、こちらはICレコーダー機能に力が入っている製品。サイズも一回り小さく軽い。本体上部左右にマイクを搭載し、ステレオ録音が可能な点は、SONY ICD-LX31にも通じるが、平置きではなく立てて使うことも想定しているため、本体に傾斜はついていない。ラジオ選局等が本体前面のダイヤルで出来る操作性の良さ、バックライト搭載、リニアPCMによる高音質録音など、なかなかに良く練られている。本体のスピーカー出力はPanasonicやSONYの最大330mwに比べて低めの50mW。記録メディアはmicroSD。AM/FM対応。USBでPC接続も可。

 

キュリオム ラジオボイスレコーダー YVR-R600

キュリオム(山善)製の、複数ある操作ボタンがシンプルなICレコーダー。小型サイズながらわかり易く反応の良いボタン、高音質のリニアPCM、カラー画面、AM/FM予約録音はなんと20件などなど盛りだくさん。ホワイト、ブラック、レッドの3色展開やポケットサイズという点では、前述のOLYMPUS DP-301の高機能・高性能版みたいな感じの製品。強いて難点を挙げるとすれば、値段が高めであることと、コンパクトなボディーに大きめのボタンを配したために、スピーカーが本体背面にあるところだろうか。

 

今回はSONY ICD-LX31を購入

本体カラーにブラックのある OLYMPUS DP-301 も魅力的だったのですが、店頭で手に取ってみた質感と、ディスプレイのサイズ・見やすさ(文字が大きい方が良い)、また私の父が使う用途を考えて、最終的にはSONY ICD-LX31を選択しました。Panasonic SR30 はSDカードが使えないので却下。その他のメーカーを候補から外した理由については前述のとおりです。
 

SONY ICD-LX31のレビュー

以下のレビュー写真は、父に使い方を説明する際、ついでに写真を撮ったものです。

パッケージ&製品外観

本体はブリスターパックでプレゼント向きとは言えないが、今回は実質本位ということで。

パッケージ裏面。海外の製品のように密閉されているわけではないので、開封は簡単

本体と同梱品。液晶部分には、保護兼ダミー表示のシートが貼ってある。付属のSDカードの型番はSF-8C4で、販売されている製品名表記はSF-8N4になります(公式ページより)。

本体は光沢のある白だが、よく見るとパールホワイトのようなキラキラが見える(本体手前、光の当たっている部分)。プラスティックの質感は悪くない。電源はスライドさせて戻るタイプで、ホールド側は「カチッと」切りかえる仕様。

本体上部には、別売のACアダプタ用端子とステレオマイク。本体手前からマイク部分にかけて適度な傾斜がついていて集音と液晶の見やすさに貢献している

左側面にマイクとイヤホン端子、ストラップホール。ストラップは初めから装着済み。マイク端子はプラグインパワー対応なので、ソニーの電話用マイク(ECM-TL3)等を使えば電話録音もできそう。

右側面には、普段あまり使わないメニューボタンと消去ボタン。誤操作防止のためにボタンの凹凸が異なっている

電池は単4×2本。カバーはスライド式で完全に外せるタイプ。ちなみに付属電池はインドネシア製造

SDカードスロットはガラケーのイヤホン端子カバーのような構造。脱落防止の灰色のパーツは厚みとコシがあるので強度は確保されているよう。SDカードは表面が上にくるように差し込める点も良い。

サイズ感

クレジットカードサイズのnanacoカードと並べてみた。

このサイズと形状で、適度な重みと安定感があり、ボタン操作時でもぐらつかない。

液晶画面等

液晶画面の解像度はスマホなどに比べて高くありませんが、この辺は各社横並びなので問題ありません。この機種にはバックライトが搭載されていないため、暗いところでの操作には不向きですが、再生ボタンや録音ボタンなどに指で触ってわかるような突起やへこみが施されているので、慣れれば基本操作は暗いところでも可能です。PCのキーボードで「F」と「J」に突起があるのと同じイメージ。なお屋外での視認性は高いです。

以下の画像は、光の関係で斜めから撮影しているため文字に影がついて見えますが、実際に正面からみるとくっきりと見えます。

初回起動時には日時設定画面が表示される

待機画面ではファイル数や残り時間、録音済み時間などが表示される。電源を入れてから待機画面になるまで1秒かからないぐらいで、レスポンスも良好。

録音中は、録音中であることが一目でわかるように、中央にアニメーションが表示される

さらに録音中は録音ボタンの「ふち」部分が赤く点灯する

再生画面。日付や時間、シークバーなどが表示される。

SDカード内のフォルダ構造やファイル名はこんな感じ

 

音質

ICD-LX31の録音形式はMP3で、ノイズキャンセル機能などはありませんが、室内での会話やママさんコーラスなどの録音には十分なレベルです。本体スピーカーの出力は330mWと同種の他社製品と比べても大きく、音量を上げれば録音レベルが低いものでも聞き取りやすい印象です。ただ本体スピーカーでは若干ホワイトノイズが入るような気がしました。

参考までに木造家屋の室内(広さ9畳)でエアコンをつけた状態で、スピードラーニングを再生した音声を載せておきます。

① エアコンからの距離約2メートル。音源のスピーカーからの距離は約1メートル

② エアコンおよび音源のスピーカーからの距離約3メートル。


ICD-LX31では、録音レベルが自動で調整されるので、音声の聞こえ方にそれほどの違いは感じられません。エアコンからの風が当たっていない分、②のほうが少し良いかもしれませんが、その辺は本体の向きを変えるなどして調整できそうです。
 

使い勝手

使い勝手の基準は人それぞれですが、機械操作が苦手な父でも、ひと通り使い方を教えたら、取説も持たずに旅先の北海道で無事に録音して帰ってきました。本人曰く、「前のやつよりわかり易いし使いやすい。音もよく聞こえる」とのことでした。よかった、よかった。
 

まとめ

以上、簡単操作がウリのICレコーダーをひととおり見てきました。ICレコーダーは高性能・高機能な高級モデルも沢山ありますが、実際仕事で使うのでもない限り、そこまでの性能や機能を必要としない方も多いのではないでしょうか?

簡単モデルは、お年寄り向けの印象が強く、コンパクトさに欠けるものがほとんどですが、機能が絞られている分、録音だけでなく再生も簡単で「とても気軽に使える」ので、学生の方が机の上に置いて講義を録音したりするのにも重宝します。特にICD-LX31などは、後で講義を復習する時も「机の上でのおさまりが良い」です。科目ごとにSDカードを差し替えて使うといったこともできます。

今回はプレゼント用として購入しましたが、レビューしてみて、ちょっと自分用にも1台ほしくなりました。ただ、この種の製品は、カラーがホワイトのものがほとんどなので、ブラックなどのカラーバリエーションが充実してくれることを期待します。

といいうわけで、お年寄りでなくても、簡単操作のICレコーダーをお探しの方の参考になれば幸いです。