iPhone標準アプリとPC版Outlookを同期させる(Outlook.com経由編)

iPhone標準アプリとPC版Outlookを同期させる

個人ユーザーが PC版(≒デスクトップアプリ版 Microsoft Office)のOutlookとiPhoneの情報を連携(同期)する主な方法には、大きく分けて以下の3つがあります。

❶ iCloud 経由で同期する方法

❷ Outlook.com 経由で同期する方法(EAS=ExchangeActiveSync)

➌ Googleなどのクラウドサービス経由で同期する方法

今回は 上記2番目のOutlook.com経由で iPhoneとPC版Outlookを同期する方法について解説します。主にメールについての内容となります。

同期イメージ

次の図は、Outlook.comを利用した場合のiPhoneとPC版Outlookの同期イメージを大まかに表現したものです(具体的な手順は基本編の記述を参照)。簡単に言えば、iCloudが担っていた機能をOutlook.comに置き換えるわけですが、これによってiPhoneとMicrosoft系のサービスやアプリとの連携がよりシームレスになります。

iPhone標準アプリとPC版Outlookを同期させる(Outlook.com経由編)

なお のついたグレーの背景で囲った部分は、Outlook.comメール以外の外部メールを集約しつつ、それらのメールアドレスでも送信を行いたい場合の設定イメージです(具体的な手順は各発展編を参照)。シンプルに使う場合は基本編のみでもOKです。

Outlook.com経由で同期させるメリットとデメリット

メリット

  • メール保存容量が実質無制限
    利用状況に応じて月単位で自動的にメール保存容量の上限が増加するようです。メールをOutlook.comに集約すれば、その分iCloudの容量を確保できます。
    Outlook.com のストレージ制限 (Microsoft公式ヘルプ)。
  • iCloudメールよりも高度な自動メール仕分けが可能
    たとえば差出人が〇〇 かつ件名が〇〇といった具合に、複合的な条件によるメールの自動仕分け(フィルタ)やリダイレクト(FW転送でなはなく直接転送)も可能です。メール仕分けルールはクラウド上で作成・管理します。
  • iCloud同様に標準メールアプリでプッシュ通知が可能
    ちなみにGmailの場合はプッシュ通知に非対応のIMAP方式
  • 最大10個のメールアドレス(=9個のエイリアスアドレス)が利用可能
    メインのメールアドレスのほかに9個のエイリアスアドレスが作成できるので、複数のメールアドレスを使い分けたい場合も便利。ちなみにiCloudメールは3個まで。
  • iCloud for Windowsなしでも、PC版Outlook(2013以降)とメール、連絡先、カレンダー、リマインダー(タスク)が同期可能
    iCloud for Windows でPC版OutlookOutlook と同期させる場合の技術的な制限事項については、Windows 用 iCloud での Outlook の使用に問題がある場合(Apple公式ヘルプ)の「Outlook では動作が異なる iCloud の機能」の箇所を参照

デメリット

iPhone標準アプリのうち、カレンダーとリマインダーをOutlook.comに同期する場合、利用できる項目に若干の制限があります。これらの項目はiPhone(apple)独自のもので、Outlook.comなど他社製サービスと互換性がないためです。普段、以下の項目を使わない方であれば問題ありません。

  • カレンダーで「移動時間」と「予備の通知」のオプションが利用できない
    「移動時間」のオプションでは、指定した場所から予定場所への移動時間もしくは指定した時間ぶんを本来の予定開始時間に加えて表示させることができます。また「予備の通知」オプションでは、例えば通常の通知を「出発時間」とした場合に、追加で分前にも通知するといった指定をすることができます。
  • リマインダーで「指定場所で通知」のオプションが利用できない
    「指定場所で通知」のオプションでは、あらかじめ指定場所から指定した範囲内に移動した際にリマインダー通知することができます(例:駅に着いたら買い物リストを通知する)。

基本編:Outlook.comを使えるようにする

準備

メールを管理するためのOutlook.comアカウントを用意(必須)しておきます。メールアドレス自体は、@outlook.com以外に、@outlook.jp、@live.jp、@hotmail.com、@msn.comなどOutlook.comで利用可能なものならOKです。なお、Windows8以降のユーザーの方であれば、ほとんどの方が既にMicrosoftアカウントを作成していてOutlook.comで利用できるメールアドレスをお持ちだと思いますのでそれを使っても構いません。新しく作成したい方は以下のヘルプを参照してください。

iPhoneにOutlook.comアカウントを設定

①で用意したOutlook.comアカウントを iPhoneに追加します。

PC版OutlookにOutlook.comアカウントを設定

②でiPhoneに追加したOutlook.comアカウントを PC版Outlookに追加します。

メール仕分けルールやサブフォルダを作成

必要に応じてメールの自動仕分けルールや仕分けたメールを保存するためのフォルダを作成します。この作業はiPhone、PC版Outlook問わず、ブラウザでOutlook.comにログインしておこないます(PC版Outlookでも作成可能ですが、メールのリダイレクト処理はWeb版からしか設定できません)。なおWeb版のOutlook.com上での操作は自動的にiPhoneやPC版Outlookに反映されます。

フォルダに自動仕分けされたメールをiPhoneでプッシュ通知するには
iOSの「設定 > アカウントとパスワード > データの取得方法」の順にたどり、設定したOutlook.comアカウントをタップします。次の画面の「プッシュ対象メールボックス」欄からプッシュ通知させたいフォルダをタップし、チェックマークをONにします。


以上の作業でiPhoneのデフォルトアプリにOutlook.comアカウントが設定され、PC版のOutlookと同期するようになりました。ここからは、Gmailやプロバイダーメールなどの複数のメールを、受信だけでなく送信済みも含めてOutlook.comのメールボックスに集約させていきます。

発展編の内容はすべてやらなくてはいけないものではありません。ご自身の用途に応じて設定してください。

iCloudメール、Gmail、Yahooメール、プロバイダメールなどを使っている方がOutlook.comにメールを集約させたい場合は、おそらく発展編3で用が足りると思います。発展編2はあまりおすすめしません。

発展編1:エイリアスメールアドレスを活用する

エイリアスとは

Outlook.comアカウントに関連付けられている追加のメールアドレスをエイリアスメールアドレスといいます。エイリアスアドレスは、メールアドレスの登録が必要なWebサイトやアプリで使う代替アドレスとして利用するなど、メインの個人アドレス(≒プライマリアドレス)を相手に知らせたくない場合に使い分けができるので便利です。

エイリアスの登録例

  • メイン(プライマリ):abc@outlook.com(個人用)
  • エイリアス1:def@outlook.com(オンラインショッピング用)
  • エイリアス2:ghi@outlook.com(SNS登録用)

エイリアスでは、プライマリメールアドレスと共通の受信トレイ、連絡先リスト、およびアカウント設定が使われるので、iPhoneのメールアプリやPC版Outlookで一元的に管理することができます。

Web版 Outlook.com上での作業

ブラウザでOutlook.comにログインして、エイリアスアドレスを作成します。

iPhoneで差出人アドレスを切り替えるための設定

①で作成したエイリアスアドレスを受信専用として使う場合は、基本編で登録したOutlook.comアカウントの受信トレイにメールが届くので、追加の設定は特に必要ありません。必要に応じて基本編④の自動仕分けルールを設定しても良いでしょう。差出人を切り替えてエイリアスアドレスから送信したい場合は、以下の手順でiPhoneに送信専用アカウントを設定することができます。

送信専用アカウントを設定するための準備
  • 使っていないメールアカウント(メールボックスが常に空っぽのもの)を用意します。gmailでもyahooでもプロバイダメールで使っていないものでも構いませんし、基本編①で用意したものとは別にもう一つOutlookアカウントを作成しても良いでしょう(但しエイリアスアドレスは不可です)。
  • 用意したメールアカウントでPOP接続を許可する設定をしておいてください。
解説で使うメールアドレス

iPhoneに送信専用アカウントを設定する解説用として各アカウントとメールアドレスを以下のように表記します。

  • 既にiPhoneに設定済みのOutlook.comアカウント
    アカウント①
  • メイン(プライマリ):abc@outlook.com(個人用) メアド①-0
  • エイリアス1:def@outlook.com(オンラインショッピング用) メアド①-1
  • エイリアス2:ghi@outlook.com(SNS登録用) メアド①-2
  • 送信専用として設定する 使っていない(または新規作成した)Outlook.comアカウント
    アカウント②
  • メイン(プライマリ):xyz@outlook.com
    メアド②-0

送信専用アカウント設定手順(前半)

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本来なら受信サーバーに何も登録したくないのですが、iPhoneの仕様で受信サーバー欄に何も登録していないと毎回エラーメッセージが表示されるので、使っていないメールアカウントのサーバー情報を登録して、受信処理を正常終了させることで回避しています。

  • 名前:入力しません(ブランク)
  • メール:アカウント①のエイリアスアドレス(メアド①)
  • 説明:送信専用アカウント
  • 受信メールサーバ
  • ホスト名:アカウント②のPOPサーバーアドレス(Outlook.comの場合は、「pop-mail.outlook.com」)
  • ユーザー名:アカウント②のユーザー名=メアド②-0
  • パスワード:アカウント②のログインパスワード
  • 送信メールサーバ
  • ホスト名:アカウント①のSMTPサーバーアドレス(Outlook.comの場合は、「smtp-mail.outlook.com」)
  • ユーザー名:アカウント①のユーザー名=メアド①-0
  • パスワード:アカウント①のログインパスワード

送信専用アカウント設定手順(後半)

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メールの差出人の切り替え方法

送信専用アカウントの設定が済んだら、差出人を切り替えてテスト送信してみましょう。

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PC版Outlookでエイリアスアドレスを切り替える

iPhone標準アプリとPC版Outlookを同期させる(Outlook.com経由編)

Outlook2016にOutlook.comアカウントを設定していれば、作成したエイリアスアドレスは自動的に利用できるようになっているので、追加の作業は不要です。

画像のように、メール作成時に「差出人」ボタンをクリックして切り替えることができます。

発展編2:Outlook.comに外部メールを接続する

ブラウザ版のOutlook.comでは、Gmailやプロバイダメールなどの外部メールを接続して送受信する機能が用意されています。便利な機能ですが、かなりクセのある機能なので、個人的には代替方法として発展編3の方法をおすすめします。外部メールの接続方法は以下のリンクを参照してください。

外部メールは送信専用アカウントとして接続すると便利!

Web版のOutlook.comの設定画面で外部メールを「送信専用アカウント」として接続すると、前述のスライド4枚目のように、他のエイリアスアドレスと外部メールアドレスを一緒に登録することができます。

メール作成時に差出人を切り替えれば、メールヘッダー情報もOutlook.comに接続した外部メールサーバーのものになるので、Outlook.comに外部メールを集約していて、外部メールアドレスで返信したいときには重宝します。

また送信時にBCCを指定しなくても、送信済みメールがOutlook.comの送信済みフォルダに保存されるため 一元管理がしやすくなります。

Web版 Outlook.comの外部メールアカウントを新規追加する画面で、「アカウントを手動で構成する」にチェックを入れると「送信専用アカウント(SMTPのみ)」が選べるようになります。

でも、Outlook.comに外部メールの接続をあまりお勧めしない理由の一例

受信に関するものでは、 接続されたアカウントと Outlook.com の同期は一方向のみです。Outlook.com は接続されたアカウントのメールを同期しますが、Outlook.com で行った変更は接続されたアカウントに同期されません。Microsoft公式ヘルプから抜粋)といった仕様になっています。

また、接続する外部メールの量が膨大な場合に同期エラーを生じることもあるようです(接続されているアカウントが更新中のままGmailがインポートされない – Microsoftコミュニティ)。

送信に関しては、利用する外部の送信メールサーバーの設定によって Outlook.comからのSMTP接続が拒否されたり、送信遅延や不達などのトラブルが見受けられます(Microsoftコミュニティでの検索結果)。※SMTP接続の拒否については、利用している外部の送信メールサーバーの設定で、「国外からのSMTP認証を許可」することによって解消する可能性があります。

発展編3:Outlook.comに外部メールを集約する

外部メールの集約は自動転送が便利

iCloudメール、Gmail、Yahooメール、プロバイダメールなどを使っている方がOutlook.comにメールを集約させたい場合は、前述「発展編2:Outlook.comに外部メールを接続する」の方法以外に、Outlook.comにすべてのメールを自動転送(リダイレクト)する方法もあります。自動転送の利点は、Outlook.comに外部メールを接続する方法に比べてメール受信までのタイムラグが短いことです。

必ず、自動転送後にメールを残さない(=削除する)ようにします。

自動転送前のメールは手動でOutlook.comに移行する

自動転送設定をおこなう前のメールは、手動でOutlook.comのメールフォルダに移行させる必要があります。メールを移行する最もシンプルな方法は、PC版Outlookに Outlook.comと移行させたいメールアカウントをIMAP方式でセットアップして、移行元のメールフォルダからOutlook.comのフォルダへメールをコピーする方法です。いきなり移動させるのではなく正常にコピーが完了したのを確認してから、移行元のメールを削除するとより安全です。

移行させるメールが少ない場合は、iPhoneに移行元のアカウントをセットアップしてOutlook.comのメールフォルダに移動させても構いません。

iPhoneでアカウントをまたいでメールを移動する場合は、移動先のメールボックス(フォルダ)選択画面が表示されたら、画面左上の「アカウント」をタップして移動先のアカウントを選択します。

iPhoneにOutlook.com以外のメールを送信専用アカウントとして設定するには

Outlook.comに外部メールを集約していても、外部メールのアドレスでメールを送信する機会もあるでしょう。「発展編2:Outlook.comに外部メールを接続する」で説明した、送信専用アカウントをOutlook.comに直接設定する方法なら、iPhoneに余計なメールボックスを作らずに済みますが、Outlook.comでの送信専用アカウント設定がうまくいかない場合は、次の要領でiPhoneにメールアカウントを設定します。

送信専用アカウントとして設定するプロバイダメール等で、あらかじめ自動転送設定と既存のすべてのメールのOutlook.comへの移行を済ませておきます。

Step1:iPhoneでの作業

  • 上記プロバイダメール等をiPhoneにPOP接続で設定します。
    iPhone、iPad、iPod touch でメールアカウントを設定する(Apple公式ヘルプ)
    あらかじめ設定してある自動転送によりPOP接続ではメールは受信されません。結果的に送信専用アカウントとして機能します。
  • 「設定 > メール」の順にたどり、「常にBCCに自分を追加」のオプションをONにします。
    プロバイダメールはOutlook.comの送信サーバーを使わないので Outlook.comに送信控えとしてメールをBCCで送ります。

メールの差出人の切り替え方法

Step2:Web版Outlook.comでの作業

iPhoneの設定が終わったら、Web版のOutlook.comにログインして以下のメール仕分けルールを設定します。

  • ルール1
  • 条件1:差出人が上記プロバイダメールアドレス
  • 条件2:および自分の名前が「宛先」ボックスにない場合
  • 処理1:メールを「送信済みアイテム」フォルダに移動する
  • 処理2:およびメッセージを開封済みにする
  • ルール2
  • 条件1:差出人が自分のOutlook.comメールアドレス(エイリアスアドレスを含む)
  • 条件2:および自分の名前が「宛先」ボックスにない場合
  • 処理1:メールを削除する
  • 処理2:およびメッセージを開封済みにする

仕分けルール1では、プロバイダの送信サーバを経由してBCC送信されたメールをOutlook.comの「送信済みアイテム」フォルダに移動させます。
仕分けルール2は、BCC送信によって重複する分を削除する役割を果たします(Outlook.comの送信サーバを経由して送信されたメールは自動的に送信済みフォルダに控えが保存されているためBCC分が重複します)。

PC版OutlookにOutlook.com以外のメールを送信専用アカウントとして設定するには

PC版Outlookの場合も、前述のiPhoneの場合と同様にPOP接続でメールアカウントを設定し、送信メールサーバー部分を利用する方法になります。

送信専用アカウントとして設定するプロバイダメール等で、あらかじめ自動転送設定と既存のすべてのメールのOutlook.comへの移行を済ませておくことで、PC版Outlookでメール受信処理をしても何も受信されず、結果的に送信処理のみが実行できます。

メールアカウントの設定後、メール送信時にメールの控えをOutlook.comの「送信済みフォルダ」に自動で保存するには、Outlook.comのデータファイル(.ostファイル)を「既定のデータファイル」に設定します。何らかの理由で「既定のデータファイル」をOutlook.comのデータファイル以外のもの(.pstファイル)に指定する必要がある場合や、うまくいかない場合は、自動または手動で自分のOutlook.comメール宛にBCCを設定し、Outlook.comの仕分けルールを設定してください。

既定のデータファイルの変更方法

PC版Outlookの「ファイル > アカウント設定」を開き、「データファイル」タブに切り替えたら、一覧から、Outlook.comのデータファイル(.ostファイル)を選択し、「既定に設定する」をクリックします。

PC版Outlookで自動BCCを実現するには

PC版OutlookにはiPhoneのような自動BCC機能が標準装備されていません。自動BCCを実現するには、マクロを使う方法(リンク先の記事はGmailの例)か、Power Toys for Outlookのようなアドオンソフトを導入します。

複数の異なる送信メールサーバーを登録する場合のコツ

PC版Outlookに複数の異なる送信メールサーバーを登録する場合、普通に作るとデータファイルも複数作成されてしまい見苦しく感じる場合があります。2個目以降の送信専用アカウントを登録する場合は、次の画像のように既存のデータファイルにメールを配信させることで、無駄なデータファイルの作成を防ぐことができます。

iPhone標準アプリとPC版Outlookを同期させる(Outlook.com経由編)

メールアカウントを新規に追加する場合は、新規追加時に既存の「.pst」ファイルを指定できます。


iPhone標準メールアプリとPC版Outlookを同期させる手順は以上です。メールだけでなく、カレンダーや連絡先、タスクなども同期するには以下の記事も参考にしてください。