EVOMS:導入前の準備・確認事項

EVOメールサーバー(以下「EVOMS」)のインストールをする前に、サーバーにするPCや、インターネットプロバイダ、メールアドレスに使用するドメイン(〇〇〇@.com等)、ブロードバンドルーター、ウィルス対策ソフトなどを確認します。

なお、初めて自宅でサーバー公開にチャレンジする方は、このページに目を通した後、ケーススタディもあわせてご覧頂くと構築手順のイメージが掴みやすいと思いますので参考にして下さい。

EVOMSでは、CalDAV/CardDAVだけを運用することも出来るので、運用する機能によって準備する物や必要な設定項目が異なります。そこで項目ごとに以下の凡例をつけてあります。
共通:運用機能にかかわらず必要
Mail:メール機能を使う場合に必要
DAV:CalDAV/CardDAV(カレンダー、アドレス帳)機能を使う場合に必要

動作環境

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  • 推奨のハードウェアスペック
    CPU:Intel Quad-Core Processor
    メモリ(RAM):8GB
    ストレージ(SSD):必要となる容量は利用するユーザー数によります。
    LANアダプタ(NIC):1000BASE-T/100BASE-TX
  • 最小のハードウェアスペック
    CPU:Intel Dual-Core Processor
    メモリ(RAM):4GB
    ストレージ(HDD):回転数・速度:7200rpm。必要となる容量は利用するユーザー数によります。
    LANアダプタ(NIC):1000BASE-T/100BASE-TX
  • 対応OS(32bit/64bit両対応)
    Windows XP SP3
    Windows Server 2003 R2 SP2
    Windows Vista SP2
    Windows Server 2008 R2 SP1
    Windows 7 SP1
    Windows 8
    Windows Server 2012
    Windows 10
  • ブラウザ
    Internet Explorer 8,9,10,11

Windowsのサポートが終了していないものを利用しましょう。

インターネット接続環境とプロバイダ

共通
  • 光回線等の高速・常時接続可能なインターネット回線契約とプロバイダ契約が必要です。(もっとも、この記事を読んでいる方は、この要件を満たしていると思います..)
Mail
  • 固定IPサービス(IP逆引き設定が出来ること)
    ※通常プロバイダのオプション契約が必要です。
    ※個人でも固定IPサービスを安価で契約できるプロバイダとしてはインターリンク(1995年からやっている老舗プロバイダ)が有名どころです。
    ※CalDAV/CardDAV機能のみ利用する場合は、固定IPサービスは必須ではありません。

ドメイン

共通

お名前.com等のドメイン登録サービスからEVOMSで運用するドメインを用意します。

CalDAV/CardDAV機能のみ利用する場合は、No-IP  等の無料のDDNS(ダイナミックDNS)サービスを利用してEVOMSを運用することも可能です。※ルーターのメーカーがDDNSを提供している場合もあります。

固定IP(正引きと逆引き)

Mail

EVOMSで使用するメールアドレスが正しく送受信できるようにするために固定IP(インターネット上で識別されるサーバーの住所のようなもの)を用意します。

正引きとは

相手が自分のサーバー(EVOMS)上のアカウントである「user@yourdomain」宛てにメールを送信した場合、DNSサーバーからドメイン名に対応するEVOMSのグローバルIPアドレスを参照(正引き)して送信されます。DNSサーバーにドメインとグローバルIPアドレスを登録することによって、EVOMS側に正しくメールが届く仕組みです。

ここでもしも、EVOMS側のグローバルIPが勝手に変わってしまうと、DNSサーバーの案内するIPアドレス(登録したアドレス)と齟齬が生じてしまい、相手が送信したメールは行き場を失ってしまいます。そこでEVOMS側のIPアドレスには、固定IPが必要になるのです。

正引きと逆引きのしくみ

逆引きとは

反対に、IPアドレスからドメイン名に変換する行為や、その結果のことを逆引き(Wikipedia)  といいますが、近年ではYahooメールやGmailをはじめ、受信側のメールサーバーにおいて、逆引きによってメールの配信元を確認(※正引きと逆引きの結果を相互に確認)することで、迷惑メールの判定や受信拒否などの対策がとられています。そのため、送信メールサーバー側の固定IPには逆引き設定(PTRレコード)が必要になります。

DNSのホスティング

DNSサーバーは、メールサーバーのインターネット上の所在(住所と電話番号のようなもの)を保存するサーバーです。DNSのホスティング(運用)の設定には大きく3つのステップがあります。

STEP1 DNSレコードの設定

EVOMSの運用にあたって、DNSサーバーに以下の内容(レコード)を設定する必要があります。

共通
  • Aレコード
    ホスト(ドメイン)名とグローバルIPアドレスの関連づけを指定します。ホスト名からサーバーのグローバルIPアドレスを呼び出すことを「名前解決」といいます。(設定必須)
Mail
  • MXレコード
    対象ドメイン宛のメールの配送先(メールサーバー)のホストを指定します。(運用環境により設定が必要)
  • TXTレコード
    ホスト名に関連付ける情報(テキスト)として、送信ドメイン認証の認証情報(SPF)を記述し、迷惑メール判定対策を行います。(設定推奨)
  • SRVレコード
    SMTP、POP3およびIMAPプロトコルの自動検出サービスのための情報を記述します。(設定任意≒不要)

STEP2 ネームサーバーの設定

共通

上記のレコードを設定したら、同じくドメイン登録サービスプロバイダ(お名前.comインストール前に準備・確認すること等)の管理画面で、DNSホスティングサービス用に提供されたネームサーバーを指定します。

STEP3 上記設定の動作確認

最後に上記設定が正しく動作するかを、

のツールを使って確認します。

Mail

MXToolBoxのMXLookupから各種確認をしてみて下さい。使い方についてはGoogle検索で。

DAV

CalDAV/CardDAV機能のみ使う場合で、固定IPではなくダイナミックDNSサービスを利用している場合は、MXToolBoxのDNSLookupで、ドメイン名からご自身のIPアドレスが指定されているかを確認できます。

ブロードバンドルーターについて

ブロードバンドルーターは内部(自宅や社内)ネットワークとインターネット間の情報の出入りを制御する機器です。これは情報の流出や不正アクセスを防止するゲートウェイとして機能しています。ブロードバンドルーターの設定に関する操作方法については、メーカーや機種により異なるので、使用している機種のマニュアルを参照してください。

ブロードバンドルーターの選択

共通

公式サイトではNATループバックが可能なブロードバンドルータの利用が推奨されています(家庭向け製品には搭載されていないものが多い)。なお、NATループバックが出来ない機種では、内部(自宅や社内)の同一ネットワーク内のユーザーはパブリックIPアドレスまたはドメイン名を使用してサーバーの情報にアクセスすることができませんが、この問題の解決策として以下の4つが案内されています。

  • NATループバック対応のブロードバンドルータを買う(最も単純な解決方法)。
  • ネットワークの内側と外側の名前解決を行うために、内部DNSサーバーを設定する方法(※これには一定レベルの知識とメンテナンスの労力を必要とします)。
  • 同一LAN内の各PCの
    C:\Windows\System32\drivers\etc
    フォルダ内にある「hosts」ファイルに、
    192.168.1.2 mail.example.com
    (EVOMSの内部IPとホスト名)といった一行を追加する方法。しかしこの方法は、例えばノートPCをオフィスから外に持ち出した時(同一LANの外に出た時)に追加した一行を除外する必要があります。
  • オフィス内(同一LAN内)にいる時は、メールクライアントソフトのアカウント設定画面で、接続するメールサーバー名を内部IPアドレスで指定し、オフィスの外(同一LAN外)にいる時は、接続するメールサーバー名を外部IPアドレスで指定する方法。

サーバーとなるPCの内部IPアドレスの固定

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EVOMSがインストールされたPC(サーバー機)は、同一LAN内の他のPCとのIPの競合を避け、ルーターやPCの再起動後も同一のIPアドレスが確保されていなければなりません。そのため、内部ネットワーク内でルーターのDHCP機能によりサーバー機にIPが自動で割り振られている場合は、DHCPを無効にする必要があります。
内部IPアドレスの固定は、WindowsのTCP/IPプロパティから設定することが出来ます。

ルーターのポート開放

EVOMSがインターネットと通信するために、ブロードバンドルーターのいくつかのポートを開けておく必要があります。一般的なブロードバンドルーダーでは、「ポートフォワーディング」または「バーチャルサーバー」と呼ばれる機能の設定項目から、必要に応じて以下のポートを使用可能にして下さい。

Mail
  • SMTP_SMTP STARTTLS / TCP / 25
    メールを送信する際に使用される、SMTPとSMTP STARTTLSは、同じポートを使用しています。
  • SMTP Submission / TCP / 587
    代替送信ポートとして使用します。
  • SMTP SSL / TCP / 465
    SMTP SSL暗号化でメールを送信する際に使用します。
  • POP3 / TCP / 110
    POP3モードでメールを受信する際に使用します。
  • POP3 SSL / TCP / 995
    POP3 SSL暗号化でメールを受信する際に使用します。
  • IMAP v4rev1 / TCP / 143
    IMAP4モードでメールを受信する際に使用します。
  • IMAP v4rev1 SSL / TCP / 993
    IMAP4 SSL暗号化でメールを受信する際に使用します。
  • HTTP (WebMail) / TCP / 80
    Webブラウザでメールサーバにログインする際に使用します(オプション)。
  • HTTP SSL (WebMail) / TCP / 443
    WebブラウザでメールサーバにSSL暗号化してログインする際に使用します(オプション)。
DAV
  • CalDAV_CardDAV / TCP /8008
    非SSLモードでCalDAVとCardDAVを利用する際に使用します。
  • CalDAV SSL/ TCP / 8443
    SSL暗号化モードでCalDAVを利用する際に使用します。
  • CardDAV SSL/ TCP / 8843
    SSL暗号化モードでCardDAVを利用する際に使用します。
その他
  • RDP / TCP / 3389
    EVOMSをリモートデスクトップで制御する際に使用します(オプション)。

EVOMSはメール関連のポートの自動点検機能やアンチウィルスソフトと連携する機能を搭載しているので、インストール後はステータス画面でポートの開放状況やウィルスの検出結果等を確認できます。

EVOMSのステータス確認画面例

Windowsファイアウォールについて

Windows標準のファイアウォールは、EVOMSでメールが送受信される際、データの入出力を制御します。前述のブロードバンドルータ同様に、メールサーバー自体も、OSに組み込まれているWindowsファイアウォールによって通信が制御されています。EVOMSをインストールしたサーバーPCのコントロールパネルから、Windowsファイアウォールを参照して、必要なすべてのポートを設定してください。

あとでEVOMSのコントロールパネルから自動でポート開放できるので、Windowsファイアウォールを使用している場合は事前にポートを開放しなくても大丈夫です。

EVOMSでは、ウィルス対策ソフトとしてESET NOD32アンチウイルス が推奨されていますが、NOD32ではなく、ファイアウォールが搭載されているESET ファミリー セキュリティ  等の製品を使用している場合は、ESETのファイアウォールを無効にしてWindowsファイアウォールを使用するか、ESETのファイアウォール側でポート設定を行う必要があります。

Mail
  • SMTP_SMTP STARTTLS / TCP / 25
    メールを送信する際に使用される、SMTPとSMTP STARTTLSは、同じポートを使用しています。
  • SMTP Submission / TCP / 587
    代替送信ポートとして使用します。
  • SMTP SSL / TCP / 465
    SMTP SSL暗号化でメールを送信する際に使用します。
  • POP3 / TCP / 110
    POP3モードでメールを受信する際に使用します。
  • POP3 SSL / TCP / 995
    POP3 SSL暗号化でメールを受信する際に使用します。
  • IMAP v4rev1 / TCP / 143
    IMAP4モードでメールを受信する際に使用します。
  • IMAP v4rev1 SSL / TCP / 993
    IMAP4 SSL暗号化でメールを受信する際に使用します。
  • HTTP (WebMail) / TCP / 80
    Webブラウザでメールサーバにログインする際に使用します(オプション)。
  • HTTP SSL (WebMail) / TCP / 443
    WebブラウザでメールサーバにSSL暗号化してログインする際に使用します(オプション)。
DAV
  • CalDAV_CardDAV / TCP /8008
    非SSLモードでCalDAVとCardDAVを利用する際に使用します。
  • CalDAV SSL/ TCP / 8443
    SSL暗号化モードでCalDAVを利用する際に使用します。
  • CardDAV SSL/ TCP / 8843
    SSL暗号化モードでCardDAVを利用する際に使用します。
その他
  • RDP / TCP / 3389
    EVOMSをリモートデスクトップで制御する際に使用します(オプション)。

各ポートを手動で開放する手順は、Windows XPからWindows 8まで、基本的に同じです。上記のTCPとポート番号について一つずつ設定してください。

ウィルス対策

ウィルス対策ソフトの選択

Mail

EVOMSは、コストパフォーマンスの高いクライアントPC用のウィルス対策ソフトやサーバー用のウィルス対策ソフトとシームレスに連携します。具体的な製品は以下のとおり。

  • ESET NOD32アンチウイルス for Windows 
  • ESET File Security for Microsoft Windows Server
    ※通常、法人専用窓口からの購入になりますが、Amazonなら個人でも購入することが出来るようです。
DAV

CalDAV/CardDAV機能のみでメール機能を使わない場合は、ESET NOD32アンチウイルス は必須ではありません。通常のセキュリティ対策として、お使いのWindowsOSのバージョンに適合した製品を使用して下さい。

EVOMSとウィルス対策ソフトの統合

Mail

EVOMSの設定画面から、ウイルス対策ソフトウェアアプリケーションのフォルダを参照し、アンチウイルスの実行可能ファイル(ESET製品の場合、ecls.exe)を指定するだけです。EVOMSをインストール後に、以下の手順でNOD32を設定します。

  • リアルタイムスキャンを一時無効にします。
  • メールスキャンとメール関連のポート監視を無効にします。
    ※スキャンはEVOMSから指定する実行ファイル(ecls.exe)により実施されます。
  • C:\Program Files\EVO software production と C:\ProgramData\EvoMailServer フォルダを除外リストに登録します(監視対象から外します)。
    ※ 除外リストに登録する際、フォルダが指定できない場合は、EVOMSをインストールした後に、改めて対象のフォルダを指定して下さい。
  • リアルタイムスキャンを有効にします。

NODで上記の設定をする理由
ほとんどのウイルス対策ソフトは、メールサーバのために書かれていないために、通常設定のままで使用すると誤検知(電子メールメッセージのロック)を誘発することがあります。そのため、メールサーバー用PCとして不要なメールクライアント関連の機能をOFFにします。


事前準備と確認事項については以上です。この後は事前準備について、より具体的なケーススタディで確認するか、事前準備が整っている方は、EVOMSのダウンロードとインストールに進んでください。

EVOメールサーバーの使い方・全目次

導入編

活用編

ケーススタディ

リファレンス

その他