EVOメールサーバーの構築メモ(4)

固定IPサービスの契約と接続

EVOメールサーバー(以下「EVOMS」)のメール機能を利用する場合は、利用中のインターネットプロバイダ(ISP)と固定IPサービスのオプション契約が必要ですが、個人用に提供しているプロバイダは少なく、また提供していても一般に料金が高額です。

今回は、利用中のプロバイダに固定IPサービスオプションがない場合の対処として、インターリンク社が提供するマイIPサービスを利用してました。※インターリンクは、1995年からやっている老舗のプロバイダです。

マイIPサービスは2020年1月15日で新規受付を終了しています。同社が提供するフレッツ接続サービス(ZOOT NEXT)では、固定IPを安価で追加できるオプションがあるので、興味のある方は検討してみてください。

マイIPのしくみ

マイIPサービスでサーバーのグローバルIPを固定する仕組み
  • ここではマイIPを利用しましたが、一般に、メーカーの想定内で運用する方が安定性・安全性を確保できるため、可能であればEVOMSの要求水準を満たす環境を整えたほうが良いでしょう。
  • マイIPを利用する方法は、EVOではサポートも推奨もしていないので、EVOのサポートに問い合わせても答えてくれません。運用については自己責任となります。

マイIPの申し込み手順

まず、マイIPサービスの申し込みページから無料体験(最大60日間)を申し込みます。無料体験期間経過後にサービスの課金が開始するので、無料期間内にサービスを解除することも出来ます。

マイIPの申し込みページ。下にスクロールします。
「マイIPのお申し込み」をクリックします。
新規利用(インターリンクのメンバーIDを持っていない)なので、「いいえ」を選択して「次へ」をクリックします。
連絡が取れるメールアドレスを入力して「次へ」をクリックします。
入力したメールアドレス宛に手続用の案内が送られるので、メールを確認します。
送られてきたメールに記載されている「完了のお手続きはこちら」のリンクをクリックします。
支払い情報の入力と固定IPの選択
個人の場合は個人契約を選択し、氏名、支払い方法(クレジットカード推奨)を入力します。
規約への同意にチェック、IPアドレス(自動or候補)を選択して「次へ」をクリックします。
IPアドレスは現在空いているものから候補がピックアップされます(お好みで選択します)。
申し込み内容の確認と申し込み
申し込み内容の確認画面(前半)。下にスクロールします。
申し込み内容の確認画面(後半)。「確認して申込みをする」をクリックします。
申し込み完了画面をチェック
申し込み完了画面(上段)

契約情報等を管理するID、パスワードや、設定用の各種情報が記載されているので、画面右側にあるボタンから印刷(またはPDFに保存)するなどして、大切に保管します。

申し込み完了画面(中段)

内容を確認して下へスクロールします。

申し込み完了画面(下段)

「トップページへ戻る」をクリックします。

手続きが完了すると、申し込み完了画面で表示されたものとほぼ同じ内容が記載されたメールが送られてきます。こちらも要保管です。

インターリンク マイメニューを確認

インターリンクに登録された会員情報や契約情報などを管理する画面(インターリンクマイメニュー )にアクセスして、契約内容を確認しておきます。

IDとパスワードを入力して「ログイン」をクリックします。
初回ログイン時に、住所や電話番号等、利用者の詳細情報の入力を求められます。適宜入力して、画面一番下の「記入完了」をクリックします。
マイメニュー本来のトップ画面に移動しました。ここから、変更や解約などの各種手続を行うことができます。画面左の「契約情報確認」をクリックします。
画面右にあるマイIPサービスの契約情報欄の「確認する」をクリックするとマイIPサービスに接続するための各種情報を参照できます。なお、マイIPサービスは解約しない限り自動更新されます。

マイIPで接続する前に

マイIPで接続中は、PCにファイヤーウォールを導入していないとインターネット上から無防備な状態になるので、必ずファイヤーウォールを有効にしておきます(通常は有効になっているはずです)。

マイIPの接続設定と接続

マイIPの接続には、WindowsOS標準の機能を使用する方法と、INTERLINK VPNコネクトマネージャーという専用ソフトを使用する方法の2つがあります。私はVPNコネクトマネージャーを使用する方法を選択しました(VPN接続が切断されてしまった場合、自動的に再接続する機能があるため)。どちらを使用しても構いませんが、いずれの設定方法も公式サイトのマニュアルに画像付きの詳しい解説があるので、ここでは各マニュアルへのリンクを紹介します。

VPNコネクトマネージャーを使用する方法(らくちん)

VPNコネクトマネージャーは、OS標準機能を使って設定するよりも簡単に設定・接続を行うことが可能です。VPNコネクトマネージャーを使って設定・接続を行う場合は、下記のリンクを参考に設定します。

なおEVOMS運用時は、VPNコネクトマネージャーのオプションで「PC起動時の自動起動」「自動接続」「切断時の自動再接続」にチェックを入れておくのを忘れずに。

OS標準の機能を使用する方法

VPNコネクトマネージャーは常駐型のソフトなので、なるべくソフトを常駐させたくない方はOS標準の機能を使う方法が良いでしょう。OS標準の機能を使って設定・接続を行う場合は、下記のリンクからご自身のOS用のマニュアルを参考に設定します。

また、あわせて「起動時に自動接続する方法」を参考に、PC起動時にマイIPに自動接続するようにしておきます。切断時の自動再接続方法についてはGoogleで。

設定&接続が済んだら、IPチェックサイト(http://aaww.jp/ipcheck) を開き、契約した固定IPアドレスが表示されるかを確認します。

固定IPで接続できることが確認できたら、EVOMSのインストールが終わるまでマイIPは切断しておきます。

マイIPで接続できない時の確認事項

マイIP(通常版)は、PPTPという暗号化方式を使用したVPN接続を行いますが、使用しているルーターやPCのファイアーウォールがこの接続を許可している必要があります。

家庭用ルーターの工場出荷時設定、Windows標準のファイアーウォール、市販のセキュリティソフトに搭載されているパーソナルファイアーウォールは、ほとんどの場合、初期設定で接続が許可されています(※ケーススタディではWindowsファイアウォールを使用します)。マイIPで接続できない時は、以下の事項を確認します。

ルーター

使用しているルーターの「VPNパススルー」または「PPTPパススルー」の機能が有効になっているかを確認します。 

私が契約しているNURO光からレンタルされている Huawei製 の HG8045j では、「アプリケーションレベルゲートウェイ(ALG)」という設定項目の中に、「PPTP」のオプションがありました(デフォルト値は有効)。

パーソナルファイアーウォール

市販のセキュリティソフトに搭載されているパーソナルファイアーウォールでは、ネットワーク通信の許可・不許可を制御するモードを切り替えることができ、この制御モードの設定によっては、PPTPの通信が遮断される可能性があります。その場合は、制御モードを変更するか、個別に通信を許可する必要があります。

私の使用したESET Smart Securityでは、初期設定でフィルタリングモードが「自動」になっており、特に問題なくマイIPで接続できました。